こないだ、ひどく疲れて家に帰ってきたんですよ、まあ、なんで疲れたかっていうと、ガシャポンっていう、100円入れると玩具が出てくる自販機をやりに、ちょっくら近くのおもちゃ屋さんに行ってたんですけどね、まあ散々でしたよ、3回やって3回ともダブリです。ありえないでしょう、引きの良さといいますか悪さといいますか、偶然にしては出来すぎているとは思いませんか。
悲しい思いでとぼとぼと帰路をなぞり歩いていたところ、交通事故にあってしまいまして。いやぁ、相手はカメだったんですけどね。彼は無事でしたが、僕のほうが軽くびっくらこきまして。「わっ!こんな道の真ん中にカメが歩いとるッッ!」ということで驚いてしまったんです。それで腰をやられたと。とまあ、そういった事故でありました。
家に着いた頃はもうクタクタで、なにせ、腰をやられてるわけですから。疲れてないわけがないじゃないですか。もう。腰ですよ、腰。人間の一番大事なところ!
玄関のドアを開けました。薄暗い室内に、何かが立っている。
硬直しました。
それは、半透明の体を持ち、ほっそりとしたシルエットでして、僕を睨みつけておりました。
そう、スピリタスです。
スピリタスが僕を待ち伏せていたのです。とうとうこの家にもスピリタスがやってきたのか!なんの不幸の積み重ねだ!俺の人生は終わりだ!そんなふうに、頭の中では取り乱しておりましたが、視線はスピリタスに釘付けで、かつ、それ以上に恐怖を覚えていました。
「スピリタス!なにしにきた!」
スピリタスはぴくりとも動きません。
「な、な、なんだ!?威嚇してるのか!?」
彼は低温の影を貼るばかりでした。
「もういいもん……」
私は拗ねてみました。もしかしたら、スピリタスは拗ね萌えだったかもしれないからです。
しかし、スピリタスはいかなる反応も示しませんでした。それはあたかも何の意志をも持たぬ蝋人形のように。
「……そうだったのか」
私は気付きました。そして、知ってしまったのです。スピリタスを見ている目の数が、4つに増したことを。
後ろに、誰か、いる!
小さな存在でした。
6つの突起のようなものが生えていました。
つぶらな瞳をしていました。
背中には大きな甲羅が……
「さっきのカメだ!」
甲羅に手紙が縛り付けてありました。おもむろに開封すると、中には、カメの足が這ったような字で、こう書いてありました。
”おわび おさけ”

