それで、建築の仕事は曲線が少ないことに気づいて建築をあきらめたんだ。
当時、ボクが毎日のように通っていたジャスコというスーパーがあるんだけどしってるかな?ああ、そのジャスコだよ。ボクが通っていたのは千葉にあるマリンピアという昔は扇谷さんと呼ばれていたところなんだけど、そこの商品棚に並ぶパッケージに魅せられたんだ。
スーパーに並ぶ商品のパッケージに間違ったデザインのものは無いと感じたね。その中でもとくにすばらしかったのは『トップバリュー』と銘打たれた商品のパッケージデザインだよ。華美になりすぎず、かといって目立たない訳でなく、商品のすばらしさを全面に打ち出すすばらしいデザインだった。ボクはすぐにその商品、つまり白こんにゃくを手に取ってレジまで持っていったよ。もちろん研究のためにね。レジのおねえさんには少し怪訝そうな顔をされたが、デザイン研究のためですからと言って解ってもらったよ。その白こんにゃくをどう料理したかは君もしっているだろうからあえて言わないけど、すばらしいものだったよ。パッケージデザインはウソをつかないね。それできっぱり建築には見切りを付けてデザイナーの道を歩くことに決めたんだ。あ、その頃はまだズボンは履いてたよ。当然だろ。丸出しで面接なんて受けられないよ。いくら面接官が脱げって言ったってその頃のボクはうぶだったからね。ただ、みんなが見たがってたのは事実だろうね。全く困っちゃうよ。(苦笑)
そうこうしていると、ボクの噂を聞きつけた人達からホームページを作ってくれないかという依頼がくるようになったんだ。まあ、半年間遊んでる間にHTMLやJavascriptの知識はたまっていったからね。悪くないと思って快く作ってあげていたよ。そしたら、看板の仕事よりも楽しくなってきたんだ。それで、看板の仕事を辞めて、Webデザインの世界に入ったって訳さ。始めのうちは勿論履いていたさ。モロだしでWebデザインなんて出来ないからね。ただ、ずっと椅子に座っていると蒸れちゃってね、困っちゃったよ。(苦笑)
何も身に着けなくても寒くないからね、さぶイボも出ないし。
ファンの子に言わせればスパイキーなボクもいい!って言ってくれるけど、ボクとしてはそんな姿はなるべく見せたくないからね。だって、そうじゃないか?今の時代…。つるつるすべすべの流線型が人気じゃないかポルシェデザインにしろ、あの曲線にポルシェレッドが映えるんだよ。だからボクの身体も曲線の中にオレンジ色の乳頭が映えるじゃないか?そうだろ?さぶイボなんかに邪魔されたくないんだよ。
話が少しそれてしまったけど、そういう点以外でも夏はワクワクするよ。熱くて汗が出るからね。身体が金属のようにテカテカに輝くんだよ。そうするとファンの子たちもこれ見よがしにストロボを焚いてシャッターを切るんだ。それはもう壮観だよ。まるで地球が恒星になったかのようにみんなのストロボで輝くらしいよ。去年のライヴイベントのあとに楽屋に挨拶に来たアームストロング船長、あ、すまない、アームストロング船長はアポロ11号の船長として、月面に世界で初めて降り立った人物なんだけどしっていたかな?そのアームストロング船長が月から地球を何気なく見た時にいきなり輝きだしたものだから驚いたらしいんだ。で、地球に帰還したあとNASAを通じてFBI連邦捜査局に頼んで調べてもらったら、ボクのファンの子たちが焚いたストロボだったことがわかったそうなんだ。わかったって言ったって、ボクはそんな大事になってるなんてしらないからね。困っちゃったよ。(苦笑)
まあ、あれが童貞を卒業したんだと言われれば卒業になるのかもしれないね。しってるだろう?去年のライヴイベント時だよ。そう、君も見てたと思うけど、突然ステージ袖から現れた女性が一枚一枚着衣を脱ぎ始めたんだ。そして、ステージ中央に据え付けられたポールに登ったり回ったりこすりつけたりしたあと突然ボクを呼びつけたんだよ。
もちろん、その時もボクは丸出しさ。しょうがないじゃないかそういう仕事なんだ。
それ以降の事は君も見ていたと思うから話さないが、それはもう説明し様の無い感覚だったね。あんな姿をファンに見られるのも初めてだったしね。正直、困っちゃったよ。(苦笑)
まあ、かなわないことも無いんだろうけど、ボクはセクスィー路線で売ってるわけじゃないしセクスィーなんてものはまるで中学生が喜びそうな単語じゃないか?
そうだろ?だから勝負の対象にならないと思うんだ。
ファンの子たちがボクに求めるものといったら、あれしか無いんだよ。そう、丸出しないし、モロだしだ。だからボクは年がら年中、出しっぱなしだ。この仕事をやるようになってから下着というものをつけた試しがないね。下着メーカーの方たちには悪いが、ボクに必要なのは下着じゃなくてファンからの熱い視線なんだ。見られてないと落ち着かないんだよ。
そんなボクでも年に1度だけズボンをはく日があるんだけどわかるかい?
そうだよ、そう、毎年のようにベストジーニストに選ばれるからね。ベストジーニスト賞の表彰式にはジーンズは欠かせないじゃないか。
ボクだってジーンズなんか履きたくないよ。あんなアメリンカルチャーの象徴のようなゴワついた布で下半身を覆うなんて想像するだけでも太ももが痒くなっちゃうよ。でも、エドウィンやリーバイスがどうしても履いてくれって言うんだ。困っちゃうよね。(苦笑)

